大津高校サッカー部 プレミアリーグに向けてクラウドファンディング開設
クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆と資金調達を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれ、日本語では「クラファン」と略されることもある。wikipedia
年間を通して行われる日本の高校年代最高峰リーグ高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2019EAST/WESTの出場校の中で、唯一県立高校チームとして参戦している大津高校サッカー部(熊本県/2019年度3回目のプリンスからの昇格)が、この度、来年度のプレミアリーグを万全な状態で戦うため、そして悲願の全国制覇達成のため、OB会を中心にクラウドファンディングを立ち上げています。
今、なぜ大津高校サッカー部OB会はクラウドファンディングに取り組むのでしょうか。 そこには、地方の県立高校サッカー部にのし掛かる遠征費負担の問題がありました。 これは、決して大津高校サッカー部だけの問題ではなく、県立高校の部活チームが抱える慢性的な問題へのチャレンジと言えるでしょう。
プレミアリーグはEAST/WESTに分かれて開催されます。 2019年度の参戦チームはこちらです。
【WEST】 サンフレッチェ広島F.Cユース(広島県/昨年1位) ガンバ大阪ユース(大阪府/昨年2位) 名古屋グランパスU-18(愛知県/昨年3位) 京都サンガF.C. U-18(京都府/昨年4位) 東福岡高校 (福岡県/昨年5位) セレッソ大阪U-18(大阪府/昨年6位) ヴィッセル神戸U-18(兵庫県/昨年7位) アビスパ福岡U-18(福岡県/昨年8位) 愛媛FC U-18(愛媛県/新規参入) 大津高校(熊本県/新規参入)
関西から四国、九州のチームが集っていますから、当然それらのチームに近い会場をホームアウェーで訪れることになります。熊本県の大津町から、大阪や京都までの遠征になります。
リーグ戦はJリーグと同様のホーム&アウェイ方式のため、ホーム(熊本)で9試合、各チームの本拠地で1試合ずつの18試合を年間で戦います。そのため、西日本地域のリーグといっても年間で数百万円規模の移動・宿泊費がかかります。
例えば大津高校から、京都サンガFCU-18との試合で京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場まで行くとすると、その距離は約741kmです。
前日入りして宿泊すると、遠征費用がかさむので、前日の夜に出発し、フェリー内で宿泊し、当日会場入りや、試合当日の朝に飛行機で移動ということも珍しくないのです。
本来は、他のJユースチームや私立高校のように試合前日に会場近くまで移動し、ホテルに宿泊をしてコンディションを整えて試合に臨むことが理想です。 しかし、大津高校の場合は、少しでも地方への宿泊費を減らすべく、試合当日に熊本を出発し、関西・中部へ移動、試合後すぐ帰路につくという強行スケジュールでアウェイの試合に臨んでいます。
J下部チームや私立高校では、遠征費がある程度確保されている場合もあるでしょうけれど、公立高校では部活動のための費用にそれほどの予算を割くことができません。
昨年まではJFAからの補助金と部費からの強化費、参加選手(保護者)の個人負担によって遠征費を賄っていました。しかし、それは遠征費を抑えるため宿泊を減らし当日移動で計画していたものです。九州外でのゲームを試合前日に宿泊をして臨もうとすると、現在よりさらに約200万ほど多くかかってしまいます。クラブや私立学校はクラブ(学校)予算に加え、企業がスポンサーについていますが、大津高校のような県立学校にはそれが難しい状況にあります。
このような現状の中、選手たちはフェリーやバスの車中で、出来るだけコンディションを整えて試合に挑もうと努力しています。
「プレミアリーグに参戦するのを諦めたら?」そんな風に考える方もいらっしゃるかもしれませんが、大津高校サッカー部は県内三冠(新人戦、県高校総体、高校サッカー選手権)、全国高校サッカー選手権の優勝(全国制覇)を目標に活動しており、そのための強化の場としてプレミアリーグを戦うことを継続したいのです。
なるべく少ない個人負担で、移動に時間がかかる試合会場には前日に移動し、近隣施設へ宿泊して試合に臨ませてあげたいと考えています。そして、今年こそ悲願である全国制覇を成し遂げ、熊本県民に元気を与えてもらいたいです。 また、このプロジェクトで育った選手が、将来日本代表として海外で活躍して欲しいものです。大津高校サッカー部にはその可能性が大いにあると私たちは信じています。
大津高校では、サッカーOB会をはじめとして多くの方が協力し、この取り組みを盛り上げています。
2020年度大津高校初蹴り会より 左から眞鍋旭輝(現レノファ山口)、河原創(現ロアッソ熊本)、野田裕喜(現モンテディオ山形)、藤嶋栄介(現川崎フロンターレ)、巻誠一郎(元ロアッソ熊本)、谷口彰悟(現川崎フロンターレ)、車屋紳太郎(現川崎フロンターレ)、福島隼斗(現湘南ベルマーレ)
昨年度キャプテン濃野公人選手からのメッセージ
Q1.プレミアリーグを戦っての感想を教えてください。
熊本県内や九州内では味わうことのできないレベルの試合を繰り返すことでチームとしても個人としても大きく成長することができました。対戦相手には年代別日本代表の選手やJリーグチームへ内定している選手が各チームにいて、私たちの力を試す最高の環境でした。開幕当初は「残留」だった目標が「優勝」へと変化していったように、高いレベルに身を置くことでさらに高みを目指す貪欲さも培われました。
Q2.移動面で大変だった事は何ですか。
私たちは、「高体連」とか「県立高校」の”意地”ということで難しい環境で戦うことを楽しさに変えて臨んでいました。その環境で戦うことで精神力を育めた一方で、身体が思うように動かなかったり試合前から疲労感を感じたりすることがありました。昨年は上位に食い込めることができましたが、今後もプレミアリーグで戦い続けるためには移動面を改善する事は大事だと思います。
Q3.最後に、2020年チームにメッセージをお願いします。
チームでともに戦ってくれた後輩達には本当に感謝しています。私たちは全国制覇をする事は出来ませんでしたが、先輩からの置き土産であるプレミアリーグという舞台は後輩に引き継ぐことができました。後輩のみんなには今年の経験を生かし、大津高校をさらに大きくしてくれることを期待しています。そして今年こそ全国制覇を達成してください。応援しています。頑張ってください。